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SMILE
ちがや nana

「いなくならないの?その、疫病神さん?」
足をぶらぶらさせ、退屈そうに尋ねた。
くしゃくしゃの黒髪の宇宙人は「厄病神って」と小さく笑いながら
カップを手に取って、カフェラテをゆっくりと飲み干す。
「揺れる黄緑、水色、黄色のなかで」
「オレンジだけが歩けない」
「激しい痛みで歩けない」
「そのときにね」
「目の前に星が降ってきたのさ」
「綺麗だった。本当だよ」
「あれが全ての始まりだった」
青いくちびるは右の膝をさすりながら
ひとつひとつを大事そうに、ぽつり、ぽつり、と呟いた
目が無くても、遠くを見るようであった。
頭に刺さるそのピンクの星は
ずっと、ずっと笑ったまま。
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